大学院について
1.入学案内
正式名称は、横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線治療学です。
医学科卒業者(医師)は、初期研修2年間を修了後から博士課程(4年間)に入学することができます。卒後3年目に入学するケースが多いですが、ある程度の臨床経験を積んでから入学する人もいます。博士課程の修了条件は、①本課程に4年以上在学し、②所定の単位を修得し、③博士論文の審査に合格することです。また、とび級終了を目指すことや長期履修学生制度を利用することも可能ですので、それぞれの状況に合わせて研究に取り組むことができます。また、医学科以外の学部卒業者は、まず修士課程(2年間)に入学となります。これまでの入学者は、診療放射線技師や医療系メーカー勤務者が多いです。
詳しくは横浜市立大学大学院医科学研究科のホームページをご参照ください。なお、博士課程には医科学研究コースとNext Generation Oncologist 養成コース(旧がんプロフェッショナル養成コース)の2コースが用意されています。放射線治療学の大学院生はどちらを選ぶことも可能ですが、ほとんどの人は後者を選択しています。
2.研究
現在、放射線治療学では臨床にかんする研究のみ行っています。大学病院の他、連携大学院である湘南鎌倉総合病院などで指導を受けながら研究活動に取り組むことができます。研究テーマは自由に選ぶことができます。臨床経験が浅い場合は研究テーマを見つけること自体が大変かもしれませんが、経験あるスタッフから指導を受け、無理なく臨床研究に取り組むことができる体制が整っています。医師の場合は、日常診療と研究とを並行して行うことになります。医師以外の場合も、各自の仕事を続けながら、就学しているケースがほとんどです。
3.卒業後の進路
医師の場合は、大学病院や関連病院などで臨床医として活躍するケースが多いです。
医師以外の場合は、各職種において管理職に昇任、教職に就く、博士課程への進学などが多いです。
4.学位取得の流れ
留学について
1.留学
国内留学や海外留学は、通常の生活では得られない貴重な経験をして、多くの研鑽を積むことができます。ただ向き不向きや人生設計も各自異なりますので、強制はしない一方、希望者には出来るだけ希望にそえるよう、対応しています。
なお、国内外の他施設からの留学生受け入れも、随時おこなっています。
2.留学体験
これまで、国内の有名施設や欧米の有名大学にて研鑽を積んだ先生方に、体験記を簡潔にまとめていただいたので、ご紹介いたします。
鈴木涼子先生 「MDアンダーソン癌センター 放射線腫瘍科」
テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンター(MDA)で1年間の研修を行いました。米国での生活の立ち上げや、現地の方々と日本人との国民性の違いに困惑する場面もありましたが、振り返るとそれも良い思い出です。テキサス州は面積が日本の1.8倍もある広大な州で、主な交通手段は車です。車の運転が可能なら、通勤ラッシュのストレスを感じることもなく快適に生活する事が出来る環境です。日本食が恋しくなれば、日系スーパーで購入する事も出来ます。
米国では小細胞肺癌の放射線治療をテーマとした後ろ向き研究を行いました。その他にも、多職種合同カンファレンスやレジデント向けの講義に参加し、研鑽を積みました。留学して良かった事は、米国と日本の比較が客観的に行えたことでしょうか。医療の面だけでなく生活の面でも、日本の良い点や改善すべき点など色々と考えさせられました。悪い点は、家族と離れて暮らさなければならなかったことです。
留学に伴う苦労は沢山ありますが、その分得られる事も多いです。MDAの研究者には日本人は少ないですが、若い日本の研究者がもっと増えると良いと思います。留学を少しでも考えている若い先生にはぜひ行くことをお勧めしたいです。
向井佑希先生 「チューリッヒ大学病院 放射線腫瘍科に留学して」
大学院卒業の約1年後、家庭の事情でチューリッヒに留学するという貴重な体験をさせていただきました。
最初は初めての海外生活で文化の違いなど生活に大きく戸惑うことが多く苦労の連続でした。
今振り返ってみると、受け入れ先の教授、周りのスタッフもあたたかく支援してくださり、たくさんの貴重な経験ができたと思います。
チューリッヒはスイスの中でもドイツ側に位置し、ドイツ語圏です。働き方もドイツに似ていて、高効率で仕事の業績を上げつつ、休暇もしっかり取得する、というスタイルでした。それを実現できているのは医師はじめ医療スタッフが非常に充実している環境で、医師は日々の臨床、研究に集中でき、非常に研究が盛んにおこなわれている印象でした。私も短い期間でしたがドイツ語のカルテと闘いながら、幸運にも論文執筆、国際学会での発表などさまざまな貴重な経験をさせていただくことができました。
留学前の医局からのサポートはもちろん、チューリッヒにいる間も医局の先生方と密に連絡がとることができ、帰国後もすぐに慣れた大学勤務を開始することができました。ご協力くださった様々な先生方に大変感謝しております。今後はこの経験を生かして、臨床に研究に励んでいきたいと日々努力していきたいです。
小池泉先生 「Stanford大学・Heidelberg大学 放射線腫瘍学部門」
私は、高精度放射線治療の有用性と粒子線治療の導入を主な研究テーマとして、欧米の歴史がある名門大学にて多くの経験をさせていただきました。
今回体験したなかで、医療現場について強く印象に残っていることを5つ挙げます。①ファカルティ含めスタッフが多く、臓器別・治療法別・照射装置別の担当制で、各チーフは強い責任感を持っている。②医療者も患者の権利への意識が高く、経験不足の医師が単独で外来診療を完了することはない。③早朝からのカンファレンス、キャンサーボード、教育的セミナーが多くある。④レジデントは勉強熱心で知識が豊富 ⑤医学生の自主研究内容およびプレゼンテーションの質の高さ です。日本とは保険診療体系は異なり、各職種の業務内容にも違いがあります。また、私の経験という非常に限られたものでもあり、一部分だけを取り上げて、各国の良し悪しを比較することはできません。が、良いと思う点は取り入れ、自分の体験を今後に役立てていきたいと考えています。
前任者がいなかったこともあり多くの労力が必要でしたが、滞在中は現地の方々からも予期せぬサポートをいただいて、安全で楽しい日々を過ごすことができました。また、留学成功のために多大なご尽力をしてくださり、快く送り出してくださった上司の皆様、そして不在の間にご迷惑をおかけした当科の皆様には、心より御礼申し上げます。
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大学院について
1.入学案内
正式名称は、横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線治療学です。
医学科卒業者(医師)は、初期研修2年間を修了後から博士課程(4年間)に入学することができます。卒後3年目に入学するケースが多いですが、ある程度の臨床経験を積んでから入学する人もいます。博士課程の修了条件は、①本課程に4年以上在学し、②所定の単位を修得し、③博士論文の審査に合格することです。また、とび級終了を目指すことや長期履修学生制度を利用することも可能ですので、それぞれの状況に合わせて研究に取り組むことができます。また、医学科以外の学部卒業者は、まず修士課程(2年間)に入学となります。これまでの入学者は、診療放射線技師や医療系メーカー勤務者が多いです。
詳しくは横浜市立大学大学院医科学研究科のホームページをご参照ください。なお、博士課程には医科学研究コースとNext Generation Oncologist 養成コース(旧がんプロフェッショナル養成コース)の2コースが用意されています。放射線治療学の大学院生はどちらを選ぶことも可能ですが、ほとんどの人は後者を選択しています。
2.研究
現在、放射線治療学では臨床にかんする研究のみ行っています。大学病院の他、連携大学院である湘南鎌倉総合病院などで指導を受けながら研究活動に取り組むことができます。研究テーマは自由に選ぶことができます。臨床経験が浅い場合は研究テーマを見つけること自体が大変かもしれませんが、経験あるスタッフから指導を受け、無理なく臨床研究に取り組むことができる体制が整っています。医師の場合は、日常診療と研究とを並行して行うことになります。医師以外の場合も、各自の仕事を続けながら、就学しているケースがほとんどです。
3.卒業後の進路
医師の場合は、大学病院や関連病院などで臨床医として活躍するケースが多いです。
医師以外の場合は、各職種において管理職に昇任、教職に就く、博士課程への進学などが多いです。
4.学位取得の流れ
留学について
1.留学
国内留学や海外留学は、通常の生活では得られない貴重な経験をして、多くの研鑽を積むことができます。ただ向き不向きや人生設計も各自異なりますので、強制はしない一方、希望者には出来るだけ希望にそえるよう、対応しています。
なお、国内外の他施設からの留学生受け入れも、随時おこなっています。
2.留学体験
これまで、国内の有名施設や欧米の有名大学にて研鑽を積んだ先生方に、体験記を簡潔にまとめていただいたので、ご紹介いたします。鈴木涼子先生 「MDアンダーソン癌センター 放射線腫瘍科」
テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンター(MDA)で1年間の研修を行いました。米国での生活の立ち上げや、現地の方々と日本人との国民性の違いに困惑する場面もありましたが、振り返るとそれも良い思い出です。テキサス州は面積が日本の1.8倍もある広大な州で、主な交通手段は車です。車の運転が可能なら、通勤ラッシュのストレスを感じることもなく快適に生活する事が出来る環境です。日本食が恋しくなれば、日系スーパーで購入する事も出来ます。
米国では小細胞肺癌の放射線治療をテーマとした後ろ向き研究を行いました。その他にも、多職種合同カンファレンスやレジデント向けの講義に参加し、研鑽を積みました。留学して良かった事は、米国と日本の比較が客観的に行えたことでしょうか。医療の面だけでなく生活の面でも、日本の良い点や改善すべき点など色々と考えさせられました。悪い点は、家族と離れて暮らさなければならなかったことです。
留学に伴う苦労は沢山ありますが、その分得られる事も多いです。MDAの研究者には日本人は少ないですが、若い日本の研究者がもっと増えると良いと思います。留学を少しでも考えている若い先生にはぜひ行くことをお勧めしたいです。
向井佑希先生 「チューリッヒ大学病院 放射線腫瘍科に留学して」
大学院卒業の約1年後、家庭の事情でチューリッヒに留学するという貴重な体験をさせていただきました。
最初は初めての海外生活で文化の違いなど生活に大きく戸惑うことが多く苦労の連続でした。
今振り返ってみると、受け入れ先の教授、周りのスタッフもあたたかく支援してくださり、たくさんの貴重な経験ができたと思います。
チューリッヒはスイスの中でもドイツ側に位置し、ドイツ語圏です。働き方もドイツに似ていて、高効率で仕事の業績を上げつつ、休暇もしっかり取得する、というスタイルでした。それを実現できているのは医師はじめ医療スタッフが非常に充実している環境で、医師は日々の臨床、研究に集中でき、非常に研究が盛んにおこなわれている印象でした。私も短い期間でしたがドイツ語のカルテと闘いながら、幸運にも論文執筆、国際学会での発表などさまざまな貴重な経験をさせていただくことができました。
留学前の医局からのサポートはもちろん、チューリッヒにいる間も医局の先生方と密に連絡がとることができ、帰国後もすぐに慣れた大学勤務を開始することができました。ご協力くださった様々な先生方に大変感謝しております。今後はこの経験を生かして、臨床に研究に励んでいきたいと日々努力していきたいです。
小池泉先生 「Stanford大学・Heidelberg大学 放射線腫瘍学部門」
私は、高精度放射線治療の有用性と粒子線治療の導入を主な研究テーマとして、欧米の歴史がある名門大学にて多くの経験をさせていただきました。
今回体験したなかで、医療現場について強く印象に残っていることを5つ挙げます。①ファカルティ含めスタッフが多く、臓器別・治療法別・照射装置別の担当制で、各チーフは強い責任感を持っている。②医療者も患者の権利への意識が高く、経験不足の医師が単独で外来診療を完了することはない。③早朝からのカンファレンス、キャンサーボード、教育的セミナーが多くある。④レジデントは勉強熱心で知識が豊富 ⑤医学生の自主研究内容およびプレゼンテーションの質の高さ です。日本とは保険診療体系は異なり、各職種の業務内容にも違いがあります。また、私の経験という非常に限られたものでもあり、一部分だけを取り上げて、各国の良し悪しを比較することはできません。が、良いと思う点は取り入れ、自分の体験を今後に役立てていきたいと考えています。
前任者がいなかったこともあり多くの労力が必要でしたが、滞在中は現地の方々からも予期せぬサポートをいただいて、安全で楽しい日々を過ごすことができました。また、留学成功のために多大なご尽力をしてくださり、快く送り出してくださった上司の皆様、そして不在の間にご迷惑をおかけした当科の皆様には、心より御礼申し上げます。
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